人生で初めてマッチングアプリ女子と会う②
そんなこんなで当日を迎えた。
緊張のため前日からそわそわしていた。
ランチを約束していた。
そもそもマッチングアプリを始めた目的が女性に慣れるためということもあり、とくに切実に彼女が欲しいというわけではない。
だから本当はアルコールの力を借りて話したいし、あわよくばという雰囲気にもなりたかった。
しかし今はコロナの時代である。ランチしか選択肢はないのである。
それに飲みに誘って下心を見透かされて断られるというのは避けたい。
「初対面の人とランチなんて話続かないでしょ。」
数日前に友人に指摘されて自信がなくなっていた。
ただでさえ話すのが苦手な僕が、初対面の女の子と話せるのだろうか。
不安しかなかったが、今の状況を変えたいのだからやるしかない。
そう決心して待ち合わせ場所へ向かった。
待ち合わせ時間の15分ほど前についてスマホをいじりながら待機した。
駅の待ち合わせ場所としてよく使われるその場所は、同じく人を待つ人たちで混雑していた。
どう挨拶するかを考えた。
今日はよろしくお願いします。という感じだろうか。
待ち合わせ時間の3分前になったので、着いてますよとラインを送った。もうすぐですと返信があった。
服装の特徴などを送信して待っていると、女性が近づいてきた。
さらさらの前髪、少し離れた目、二重。
完全にタイプだった。
よろしくお願いしますと言い、僕たちはすぐにホームに向かって歩き始めた。
緊張はピークに達したが、その子も緊張していた。
ぎこちない会話をしながら歩いていく。
私こっちがいいんです、と言いその子は僕の左側に並んだ。
この子もそういうこだわりがあるんだ、と思った。というのも元カノも右か左か忘れたが一方にいることを好んでいたからだ。
目的地へ行く電車を待つ間に少しずつ打ち解けていった。
その子もマッチングアプリで会うのは初めてと言っていた。
レスポンスが早いから慣れていそうと思っていたけれど、そうではないと知って少し嬉しかった。
続く。